格闘技空手でも上手な人は向かい合った時に威圧を感じて動きが取れないときがあると十数年の経験者が言っていました。
また、間を制するという言葉があります。相手と自分の間の空間を自分のものとしてしまうことです。
これらは「入り込む」として説明をしてきました。
もう少しイメージしやすい説明をしてみたいと思います。
胸の前に直方体の筒をイメージします。胸の幅、胸の高さ(例えば鎖骨から股関節)の長方形を断面にもつ、前方にまっすぐ伸びた直方体をイメージします。
この直方体を意識してサンチンやナイファンチンを行ってみてください。どうでしょうか? 転身などでの姿勢の崩れが修正されるのが感じられるでしょう。特にナイファンチンでは体の向きが非常に正確になることがわかると思います。
館長がナイファンチンを稽古しているとき、突然世に中は水平と垂直でできていることが感じられたと言われます。その時苦しんでいた腰のゆがみも治ったそうです。
それとは比べものになりませんが、ミニチュア版でしょうか?
さて、この直方体ですが、相手を向かい合った時この直方体を意識しておきます。この直方体は相手との空間となりますが、この直方体に中に自分はいる意識を持ちます。直方体は自分の領域です。
中にいる意識を明確にするために、直方体の外側を外と意識します。
比較のために、外にいる意識で相手の攻撃を受けてください。相手の攻撃をなかなか防御できません。一方的に押しまくられます。空間の外にいる意識は、相手から逃げていることになるのだと思います。
それでは、空間の中に入り込んでいる意識で向かい合ってください。どうでしょうか? 相手の攻撃は一瞬で制御され、次の瞬間相手を崩すことができることに驚くでしょう。
これが間を制することだと思います。ここでは空間をはっきりと意識できる直方体を使ってみました。中にいる意識で空間を制することができることがわかりました。「入る」がかなり具体的なイメージになったかもしれません。