先日体験見学に来た人がいました。
40代。極真会館で1990年から2000年にかけて数多くの優勝を果たした選手の道場で稽古を積んだ黒帯です。
鍛錬されたしっかりした身体の持ち主です。
「右脳の空手」を書店で見つけて、読んで興味を持ったとのことでしたが、内心「ほんとかな?」と思っていたようです。
空手を再開するのに当たり、かって通った道場も含めて選択の一つとして東京道場に来てみたようです。好奇心もあったのが正直なところでしょうか?
いつも体験者にするのと同じように合気起こしなどを経験してもらいました。その後は皆と一緒の稽古に加わってもらいました。
基本稽古やサンチンなど、いずれの動きも経験者であることを示していました。
当道場の同じ年代の黒帯と一緒に分解組手などの稽古をしながら崩され、なぜ崩されるのか?と不思議そうな顔をしていました。でも非常に興味をもって様です。
座り技の稽古をすることにしました。
二人が向き合い正座をし、受け手が両手を太ももに乗せます。相手は受け手の両手首を両手で押さえ込みます。上体を前に倒し体重をかけてぐっと押さえこみます。受け手が相手を崩して倒せれば成功です。
全員が参加して、順次相手を交換しながらの稽古です。女性が半数近くいて初心者はどの相手でも崩せるところまではいきません。
何巡目かのとき、体験者はある女性と向き合いました。
80歳のチャーミングな女性です。このブログの「出来た!型をするように!(1)」で紹介した女性で、二週間前ほどから、身体の感覚を掴みかけて明らかに変化した女性です。
私も全員の出来栄えをチェックしながらも、この組み合わせが気になりました。「うまくいくかな?」と内心思いました。これがうまくいけば彼女の進歩は本物です。でも、体格があまりにも違います。そのことが意識に少しでも入ると技はかかりません。
彼女は姿勢を崩さず、両手もほとんど動かしませんでしたが、体験者は左側に傾き床に仰向けに大きく転がりました。
私も周りも「おっ!」と思いました。たぶん体験者が一番驚いたと思います。
何度か、やってもらいましたが、結果は同じく見事に相手を右や左に転がしていました。
チャーミングな女性はやはりうれしかったのか、小さく拳を握りました。
道場生の進歩を見るのは最大の喜びです。私も内心、ガッツの拳を握りました。
体験者はその場で入門を決めました。