武術空手の大原則は「入り込み」であると述べました。
また、相手を無力化して崩す方法をいろいろな方向から触れてきました(これからも続けますが)。
分解組手などでそれまでと異なる取り組みを紹介するとき、理詰めの道場生には多少混乱を招くようです。学校で、一つの問題には一つの解答があると教えられてきているせいかもしれません。
今まで会得した方法と異なる方法を使ってもらうことがあります。この時は敢えて前の方法を忘れてもらって、新しい方法に専念してもらうことをお願いします。
もちろん無意味に新しい方法を稽古してもらっているわけではありません。見かけは異なるように思えても、意識する対象が異なっているだけで、根幹にある意識の在り方が同じであることを身体で覚えてもらうためです。また、人によって技ができるようになる方法が異なるので、いろいろな方向から試してもらう面もあります。
武術空手の原則を教科書的にまとめておくことにします。今やっている稽古の位置づけがわかると稽古の目標がはっきりすると思います。
「入り込む」ことができれば相手を崩すことができます。
「入り込む」ために意識を固定することが大事です。
意識の固定とは、相手の攻撃や自己の闘争心などの外乱に動かされない心の状態です。
これは大きく分ければ以下のようになります。
心の状態への意識固定
身体状態への意識の固定
です。
心に対する意識固定は
「調和」「優しさ」「受け入れ」「寄り添い」「愛」
などです。
身体状態への意識の固定は
身体感覚の意識固定
身体部分の意識固定
と分けることができるかもしれません。
身体感覚とは次のようなものが含まれます。
型が作る身体感覚 や 空間の感覚 などです。
身体の部分には、自分や相手の
重心、中心、丹田、あるいは股関節や足の裏など文字通り身体の特定部分です。
強いて分類すると、以上の様に意識の対象によって分けることができます。稽古の方法もそれに応じていろいろあることになります。
が、いずれも根底は意識の固定です。これが意識の固定を習得できれば自在性が増します。
また意識の強さが相手を強く無力化します。また、固定と言っているのは術をかける間は意識を変えないことです。
意識が変わったり、途切れると、相手との衝突が生じて技はかからなくなります。
意識が固定されていると、相手はなぜか二の手を出すことができずに崩れます。一呼吸あるいは一調子の技となります。
意識を強く固定して、持続させていくことには覚悟が要ります。覚悟の在り方がその人の生き方と関係しています。
今までのブログで、いろいろな方法を紹介しているように見えますが、実は意識の在り方という意味では一つのことを説明しているのです。
また、意識の固定という意味で禅と武術が共通であることがわかると思います。