攻撃を跳ね返すように防ぐと衝突を生みます。最初の攻撃を防げたとしても次の攻撃が続きます。衝突の連鎖です。
武術は最初の防御が同時に攻撃となっていて、相手は次の攻撃を行うことができません。相手の最初の攻撃を無力化するのが武術です。
宮本武蔵が言っています。「攻撃する動き(ウゴキ)のウの頭を押さえること。気にても、太刀にても、身にても押さえよ。」と。何らかの手段で攻撃の初動を押さえ込むのです。これで相手は「無力化」します。初動を押さえることを「入る」「入り込み」と言っています。
格闘技と武術の違いは、「衝突の世界」から「入り込みの世界」の違いです。完全に異なる世界ですので、「衝突の世界」の延長上には「入り込みの世界」は存在しません。何らかの内面の飛躍があって世界が変わることがあるでしょうが。
「衝突の世界」は身を守るという本能から生じているので、抜け出すことは非常に難しいことは理解できるでしょう。
道場生を見ていても「衝突の世界」から抜け出すのに、3,4か月はかかるのが通常です。格闘技の経験者ほど時間がかかることがあります。衝突を続ける中での動きが身についているからです。