型の稽古を繰り返すことによって外形が整ってきます。繰り返すことによって動かしている手足を動かす神経回路が出来てくるのだと思います。考えずに手足が動くようになります。
型の意味を正しく理解し、動きに「入り込み」の意識を加えてさらに繰り返すとき内面が動き出します。「入り込み」の意識を含ませて稽古をすることで神経回路は手足のみでなく肚等の身体の広い範囲にわたってつながります。型が重くなるのは、神経回路が広がり動きに参加する身体の部分が多くなるのに関連していると思います。
さらに稽古を続けると神経回路に流れる神経インパルスの量が大きくなり、さらに速度が速くなるのではないかと思います。
さらに身体を動かさなくても動きをイメージすることで神経回路に神経インパルスが流れます。
感覚受容器から脳に情報が伝わり、その結果脳から末端に指令が伝えられるモデルは情報伝達のすべてを説明できないと言われてきています。神経インパルスの伝達速度が遅いために、瞬時の身体の応答やバレエダンスのような統合された動きを説明できないとされています。そのため脳を介さずに全身の細胞レベル同士が情報やエネルギーを交換しているのではないかと言われるようになっています。
目に見える動きをせずに、触れなくても相手に効果を与える「入り込み」は、お互いの細胞レベルの情報交換を利用しているのではないかと思います。
「入り込み」ができるとき、身体を動かさなくても、その動きを強くイメージすることで、動いた時と同じように神経回路を大量の神経パルスが流がれているのではないかと思います。入り込まれた方は、相手の神経インパルスの流れを細胞レベルで感じて身体は不随意的に反応します。これが「入り込み」と「崩される」の関係ではないかと思います。
型の稽古はイメージによって活性化する神経回路を作るためと言えると思います。