今日は久しぶりに座り技の稽古をしました。
座り技には上げ受けなどを含めいくつかあります。今日は一番基本を稽古しました。正座して向かい合い、受け手は自分の両ひざに両手を置き、相手は受け手の両手首を握り動けないようにします。受け手はこのまま握る人を崩し倒します。
握り方は人により変わります。上から体重をかけて押さえる人、手前に引く人、後ろに押す人、思い切り握る人だけではなく軽く握る人もいます。軽く握る人はこちらの動きを腕で吸収してしまうので身体を崩すことは難しくなります。
道場生の一人は入門して間がないので、どうしても押さえられた手首を力で動かして相手を倒そうとします。当然うまくいきません。押さえられた両手首を思い切り力で動かし、相手を倒そうとするので触れあっている手首で衝突が起こるのです。押さえる相手も本能的に抵抗してしまうのです。
ここでも全身の脱力、特に押さえられた手首の脱力が重要です。相手と調和した触れ方でないとぶつかり合いとなるのです。
そこで相手と調和した触れ方を学んでもらうために、お互いに向き合って立ってもらいました。握手をするように片腕を前に出してもらい、手のひらどうしを合わせてもらいました。
一方の人は他方の人をリードして相手を動かします。ダンスのジルバを踊るように自分の周りに相手をぐるりと回したり、手前に引いたり、後ろに押したり、自在に大きく動かします。もし、手のひらに力が入っていると、相手の手のひらとは滑ってしまい、離れてしまいます。特に手前に引くときは離れやすくなります。
全身の緊張を解きます。特に手のひらは柔らかくします。相手と調和して一緒に動くつもりでないと相手を自在には動かせません。相手を自分の思い通りに動かしてやろうとすると、手は優しさが無くなり相手は止まってしまいます。
ここに武術の本質があります。
優しく相手を尊重するのです。
実はこのまま相手を崩して倒すこともできるのですが、初心者は倒す意識で優しさを消してしまう可能性があるので省略しました。
しばらくダンスを楽しんでもらった後、座り技に戻ります。
強く押さえられても、相手の手と自分の手首が先ほどのダンスと同じ気持ちで優しく触れあっているとイメージします。すぐには出来ませんでしたが、何度か試した後相手はころりと倒れました。
満足感が残ります。受け手だけでなく、倒された方も力で倒されたのでないので気持ちよさが残ります。私もうれしくなります。