武術においては呼吸が重要であると言います。しかし、その本質について触れられることは少ないと思います。
私たちは生存するために呼吸することは不可欠です。言うまでもなく、肺で空気を吸い、吐くというほぼ無意識に行う生理的な動きで生き続けることができます。
武術と言っても生きてる営みの一環ですので、自然に行っている呼吸が基本にあります。
ただし、武術の本源である内面の呼吸は生理的な呼吸とは異なっていると言ってよいと思います。これはおいおい触れていきます。
多くの人は武術で呼吸が重要というと、相手の呼吸を読んで技をかけることだと思っています。それは正しい理解でもありますが、武術の呼吸の一面に触れているだけです。。
まず、その一面から述べることにしましょう。
(相手の隙を突く)
相手の呼吸を読んで攻撃を仕掛けると言います。
吐いて吸い込む瞬間に隙ができるのでその瞬間に技をかけるのです。
将棋の升田幸三は盤面にコマを打つとき、相手の吐いて吸う瞬間を狙ってぴしゃりと打ったそうです。
軍隊に入隊した時に、銃剣術で最初は古参兵にぼこぼこにされたが、あることを掴んでからは負けなくなったそうです。
「相手の呼吸をよく見るんだ。人間は必ず息を吸って吐く。息を吐いているときは攻撃しても無駄だ。相手が息を吐き終わって吸い始めた瞬間にエイヤッと打ち込む。大抵の人間息を吸い始めた瞬間は無防備になるものだはそののち負けることが無くなった。それを覚えてから銃剣で負けなくなった。」と升田幸三は言っています。
確かに相手の呼吸を読んでことを起こすことは武術の大事なポイントです。「入り込み」の一種で言えます。